<4>夫婦で全国「猫旅」に出かける 台湾やロシアへも
佳江さんが乳がんになった2001年、りゅうが家族の一員になった。アメリカンショートヘアの雑種の子猫で、背中や横っ腹の柄がイノシシの子のウリ坊に似ていたので、“ウリ”をひっくり返して“りゅう”と名付けられた。その7年後にはライも加わる。
「ずっと前から彼女は猫を飼いたがっていました。ただ、僕は小学生の頃、飼っていた犬を自分の不注意というか、エサもきちんとやらず、散歩にも連れて行かずに野良犬にしてしまったのです。そんな負い目から、ペットを飼うのはやめようと思っていました。ただ、りゅうを飼い始めると、トイレはすぐに覚えたし、食卓に上って食べ物にいたずらをするようなこともなく、あまり手のかからない、いい子でした」
しばらくして、カメラ好きの佳江さんの親類から一眼レフカメラの立派なセットを譲り受けた。
「たまたまフィルムカメラをもらいました。世の中がデジカメに移行する頃でしたが、フィルム派のカメラマンがひとり誕生したわけです。彼女が使ったカメラは今もそこにありますが、残したのは全て紙焼き写真。彼女が亡くなってから、写真やネガをすべてCD―Rに落とす作業を続けたのですが、すべて整理するまでに6年以上かかりました。全部で5000枚以上はあると思います」