【アオリイカの炒め物】豊富なカリウムが血圧を下げる
生命の発生に必要な栄養素をすべて含んだ低カロリー食品
そら豆にしろ、大豆にしろ、ピーナツにしろ、ポリポリおいしく食べてしまって、はい終わり。その由来に思いをはせる機会はほとんどないけれど、たまには豆の気持ちになってみよう。
そもそも豆とはこれから新たに芽を出し、植物体を作り出すための栄養貯蔵庫。動物でいえば卵にあたる。それゆえ生命の発生に必要な栄養素がすべて含まれている。豆自体がホールフード(生命を支える丸ごと食品)なのである。
また、豆は人間にとっても家畜にとっても重要な食料であり、植物油、味噌、醤油など加工食品の材料にもなる。豆なしには人類の生存は考えられない。中でも、大粒のそら豆には、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル類がバランスよく含まれており、しかも油糧種子として知られる大豆やピーナツに比べてオイルの量は断然少ないので(100グラム当たりにして約10分の1)、低カロリーのとてもヘルシーな食材といえる。
ここではすり流しでそら豆の香ばしさと甘味を楽しみ、普通は捨ててしまう皮も食べる工夫をして、さらにホールフードとしての特性を引き出した。皮は、食物繊維としても、ビタミンやミネラル源としても有用なのでぜひ残さず食べたい。
▽福岡伸一(ふくおか・しんいち) 1956年東京生まれ。京大卒。米ハーバード大医学部博士研究員、京大助教授などを経て青学大教授・米ロックフェラー大客員教授。「動的平衡」「芸術と科学のあいだ」「フェルメール 光の王国」をはじめ著書多数。80万部を超えるベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、朝日新聞が識者に実施したアンケート「平成の30冊」にも選ばれた。
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