A型肝炎<1>性交で感染するがコンドームでは予防できない
治療法は、抗ウイルス薬などの特効薬はなく、基本的には入院して対症療法を行いながら、1カ月ほど安静にしていればほとんどは自然回復する。ただし、まれ(0.5%前後)に高率で死に至る劇症肝炎に移行する危険性がある。高齢者や腎臓が悪い人、糖尿病の人などは注意が必要だ。
「幼児がHAVに感染しても症状がないか軽症の場合がほとんどです。一度感染すると終生免疫ができて再感染することはありません。A型肝炎は戦前は日本でも常在化していたので、団塊の世代(1947~49年生まれ)より前に生まれた人は、ほとんど免疫を持っています。免疫を持たない中高年者が感染して発症すると重症化しやすいのです」
A型肝炎は性感染症といっても、コンドームの着用は予防にならない。しかし、ワクチン接種で予防が可能。3回の接種(初回、1カ月後、6カ月後)でほぼ100%免疫が獲得でき、その後の追加免疫の必要はないという。MSMの人やHAVが常在化する国へ渡航する人は、ワクチン接種をしておいた方が安心だ。