脳の老化を防ぐ 歩くことはうつ病と認知症の予防につながる
正しい歩き方が分からなくなった場合はどうすればいいか。田中氏によると、その感覚を確かめるには、手すりのあるところで後ろ向きに歩いてみるとよいという。具体的には、手すりにつかまりつつ、爪先から地面に着いて、膝を伸ばしながら、後ろ向きに歩いていく。そのままの形で、かかとまで地面に着いたら、反対の足でも同じように歩く。その感覚を掴んだら、同じ形で前向きに歩いてみれば、それが正しい歩き方になっているはずだという。
「歩くというのは、消費カロリーの非常に少ない運動でありながら、足を刺激することで頭頂葉が鍛えられる。さらに、酸素が脳細胞を活性化することで、集中力をつかさどる前頭葉や、記憶力をつかさどる海馬にも血流量が増え、脳の老化を防止する効果があります。さらに、血管が鍛えられることで動脈硬化を防ぎ、脳梗塞のリスクも低くなるのです」
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、散歩をしながら哲学の講義を行ったといわれている。
ほかにも、スティーブ・ジョブズも、歩きながらのミーティングを取り入れていた。歩くことには、創造性や発想を高める効果もあるのだ。スタンフォード大学で2014年に行われた調査によれば、歩いている時のクリエーティビティーは、歩かない時よりも平均で60%もアップすることが分かったという。