食習慣の改善は心臓疾患を激減させる可能性がある
オリーブオイルやナッツに含まれる不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールは減らさない働きがあり、血液をサラサラにして動脈硬化を予防する効果があります。ワインに含まれるポリフェノールや野菜・果物には抗酸化作用があり、こちらも動脈硬化を防ぎます。動脈硬化は高血圧や心臓疾患の大きなリスク因子ですから、地中海食には心臓血管疾患の発症リスクを下げる根拠があるのです。地中海食だけでなく、正しい根拠に基づいた健康に良いとされる食事の情報はたくさん発信されています。それでも、「これまでの食習慣を変えるなんて難しい」という人がほとんどではないでしょうか。しかし、私は「やればできる」と考えています。
■日本では胃がんも克服されている
ここ40年、日本では胃がんが激減しました。これは、胃がんの原因になるピロリ菌の除去対策が進んだことによるものといえます。まず上下水道が整備されたことでピロリ菌の感染が抑えられました。さらに、「水を買って飲む」という習慣が当たり前になり、水道水がおいしくないからと井戸を掘って自家水道にする家庭も見られなくなりました。こうした下地に加え、ピロリ菌の除菌に対する啓蒙も盛んに行われました。さらに、塩分を控えめにする食生活の重要性も認知され、近い将来、日本では胃がんが撲滅されるでしょう。