すり鉢であたる手間が体を元気にする食材のうま味を引き出す
完全食(4)大和芋
自然薯や大和芋は、昔から精のつく食材として知られています。消化酵素のアミラーゼやジアスターゼは消化を助けるだけでなく、栄養の吸収を促進、体を元気にしてくれるからです。
5大栄養素のうち脂質を除くタンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラルが豊富にバランス良く含まれています。
調理法によって食感が劇的に変化するのが大和芋の特徴でもあります。そのまま生でいただけばシャキシャキ、すりおろすとネバネバ、火を通すとホクホク、モチモチした食感になります。
今回のメインはビタミンCの豊富なニラや桜エビとともに揚げ物、もう一品はバター焼きにしました。
いずれも、すりおろしたものを使いますが、できるだけすり鉢であたることをお勧めします。その方が滑らかで、のびもいいからです。
すり鉢であたるのは力仕事になりますけど、料理はこのひと手間が出来上がりを大きく左右します。下ごしらえを丁寧にすることによって素材のうま味が引き出され、必要以上に調味料を使わずに済むのです。ひいては塩分を控えることにつながります。週末はお父さんがご家族とコミュニケーションを取りながら腕を振るうのもよいかもしれません。
すりおろした大和芋や自然薯は、密閉して冷凍保存も可能です。腹持ちもよいですし、冷凍保存しておけば、解凍してそのまま生でも、火を通して揚げ物や焼き物にしてもおいしく召し上がれます。
■揚げ物
《材料》
◎皮をむいて、すりおろした大和芋(できればすり鉢であたったもの=写真) 1と2分の1カップ
◎ニラ 4分の1束の小口切り
◎桜エビ 4分の1カップ
◎塩 少々
◎ナンプラー 大さじ1
◎青のり 約3分の1カップ
◎揚げ油 適宜
《作り方》
おろした大和芋にニラ、桜エビ、塩、ナンプラーをまぜ合わせる。大さじですくい、青のりをバットに広げて全体にまぶしたら、中温の油で揚げる。
■バター醤油焼き
皮をむいて、すりおろした大和芋1と2分の1カップ(できればすり鉢であたる)と、牛乳大さじ2をよく混ぜておく。フライパンを弱火で熱し、バター大さじ1を溶かしたら、大和芋と牛乳を混ぜたものを山盛りの大さじ1杯分、間隔をあけてのせ、両面を焼く。焼き上がった大和芋の脇に醤油を落として香ばしさを出す。焼き上がりに白ゴマをちらす。
▽松田美智子(まつだ・みちこ)女子美術大学非常勤講師、日本雑穀協会理事。ホルトハウス房子に師事。総菜からもてなし料理まで、和洋中のジャンルを超えて、幅広く提案する。自身でもテーブルウエア「自在道具」シリーズをプロデュース。著書に「季節の仕事 」「調味料の効能と料理法」など。