著者のコラム一覧
坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

身長・体重で「肥満」と判断されても本当は肥満ではない人

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 また、日本と海外のデータから見ると、患者の死亡率が低いBMIは20~25と幅がある。一方、75歳以上ではBMI25以上が、死亡率が低い。

 さらに肥満の人は体重減少のために適切な摂取エネルギーを設定しなければなりませんが、体重が増えるほど消費エネルギーは増加するので、「BMI25以上の人は摂取エネルギーを○△キロカロリーに設定」などと一概に決められない。

 つまり、これまでのBMI22を基準にした生活習慣指導(特に食事指導)から、患者さんの運動能力を含めた個々の条件に応じた生活習慣指導が必要なのではないかと考えられるようになってきたのです。これら“BMI論争”に関しては、今後十分なコンセンサスが必要であるものの、私個人としては、BMI25をはるかに超えると問題ですが、22~25の範囲なら、BMIで判断するのではなく、筋肉量を重視すべきだと考えています。

 実際、健康意識の高い人の間では、体重ではなくLBM(Lean Body Mass)を見よう、という動きも出てます。

 LBMとは、除脂肪体重のこと。体脂肪率を測り、体重から脂肪分を引くと、筋肉や体内の水分量、臓器などの重さが出ます。LBMが高いほど、筋肉量が多いことになります。同じ体重70キロの人で、体脂肪20%と10%の人のLBMは、それぞれ56キロ、63キロ。体重を管理する場合、体重の増減に一喜一憂するのではなく、LBMを増やすことを目標にしてほしいと思います。

 さて、冒頭に戻りましょう。BMIが高いから肥満なのかどうか? 答えはお分かりですよね。BMI25だけど筋肉量が多い(体脂肪率が低い)のであればそのままで問題ないですし、筋肉量が低い(体脂肪率が高い)のであれば、筋肉量アップを目指した食事指導、運動指導が必要になるのです。

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