もずくは塩抜きと水切りの手早い下処理で免疫力アップ
ネバネバの硫酸化多糖類に抗炎症、制がん作用の期待
食べるとコリコリした独特の歯ごたえとネバネバした食感がある。
もずくは糸状の海藻。海藻って光合成しているはずなのに、緑色ではなく、なぜ暗い褐色が多いの? と、チコちゃんのような疑問を持つ方もいるかもしれない。
その答えは、普通の植物が持っている緑色の光合成色素クロロフィルの他に、フコキサンチンという補助色素を持つから。加熱すると熱に弱いフコキサンチンが抜け、本来のクロロフィルが緑色を呈する。フコキサンチンは抗腫瘍作用、脂肪燃焼作用などが報告されている。
そして、ネバネバの正体はフコイダンという硫酸化多糖類。フコイダンの名はサプリや健康食品として聞くことも多い。それはフコイダンに免疫促進、抗炎症、制がん作用などが期待されているから。
ただし、いずれも基礎研究段階。興味深い研究成果としては、日本人の腸内細菌には海藻成分を分解できる能力を持つものが多くいるが、フランス人の腸内細菌には少ない、というデータ。
これは腸内細菌もまた、風土や食文化に根差してヒトと共生しているという動かぬ証拠である。
▽福岡伸一(ふくおか・しんいち)1956年東京生まれ。京大卒。米ハーバード大医学部博士研究員、京大助教授などを経て青学大教授・米ロックフェラー大客員教授。「動的平衡」「芸術と科学のあいだ」「フェルメール 光の王国 」をはじめ著書多数。80万部を超えるベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、朝日新聞が識者に実施したアンケート「平成の30冊」にも選ばれた。
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