もずくは塩抜きと水切りの手早い下処理で免疫力アップ
ネバネバ食品(3)もずく
料理をするうえで重要なのが食材の下処理です。
例えば、こんにゃくは20分程度、煮て、なおかつ乾煎りして水分と臭みを徹底的に排除します。そうすることで味が入りやすくなり、加える調味料は少量で済みます。ネギの小口切りやみじん切りは、芯や芯の外側にある薄皮を取り除きます。芯には独特の粘りがあって生食に不向きですし、薄皮のぬめりは切る際の障害となり、結果として食感が落ちるからです。
塩分を控えて、食材本来のうま味を十分に引き出す。なにより食べたときに、おいしいと感じなければストレスになりますし、豊富な栄養素も身になりません。
調理の際に、ちょっとした時間と手間をかけること、丁寧な下ごしらえをすることが大切なのです。
市販されているもずくの多くは塩漬けにしてあります。日持ちをよくするためです。なので塩抜きの下処理が必要になります。何度か水洗いしたあと、水に浸し、塩気が抜けたのを確認してからしっかりと水切りします。
もずくのネバネバ成分は昆布やめかぶにも含まれるフコイダンと呼ばれる食物繊維。フコイダンには抗酸化、抗がん、胃粘膜保護、免疫力アップなどの作用があるといわれています。豊富な栄養を逃さないためにも、塩抜きの下処理は手早く行うことがポイントです。
もずくというと酢の物が有名ですけれど、調理の引き出しは多いに越したことはありません。ですから今回は、干しエビとのかき揚げと、卵も使ったスープにしました。かき揚げはもずくの代表的な産地である沖縄でポピュラーな調理法です。
■干しエビとのかき揚げ
《材料》
◎もずく 150グラム
◎桜エビ 2分の1カップ
◎片栗粉 大さじ1と2分の1
◎薄力粉 大さじ2
◎生姜 みじん切り大さじ1
◎酒 大さじ1
◎揚げ油 適宜
◎塩 少々
《作り方》
もずくは塩抜きして、水切り。長い場合は1~3カ所切る。そこに桜エビ、片栗粉、薄力粉、生姜のみじん切り、酒を合わせ、軽くまぜる。中温(170~180度)より低めの油で3~5分、しっかりと揚げる(写真)。ペーパータオルに取って油を切り、塩を軽くふる。
■卵とのスープ
もずく150グラムの塩抜きをして、水切り。長い場合は1~3カ所切る。ニンニクのみじん切り小さじ1、ザーサイのみじん切り大さじ2をゴマ油で炒める。ダシ4カップを加えて煮立て、もずくを入れてさっと煮たら、味をみる。白胡椒をし、味が薄いと感じたら塩を加える。卵2個のからざを除き、溶いたものを鍋中に流し入れたら火を切り、大きくまぜる。卵に火を通し過ぎないのがポイント。
▽松田美智子(まつだ・みちこ)女子美術大学非常勤講師、日本雑穀協会理事。ホルトハウス房子に師事。総菜からもてなし料理まで、和洋中のジャンルを超えて、幅広く提案する。自身でもテーブルウエア「自在道具」シリーズをプロデュース。著書に「季節の仕事 」「調味料の効能と料理法」など。