著者のコラム一覧
東丸貴信東邦大学名誉教授、平成横浜病院健診センター長

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

有名俳優も発信「血液クレンジング」はなぜ批判されるのか

公開日: 更新日:

 血液クレンジングを受けた人は「ドス黒い血液がオゾンを注入したら鮮やかな赤色に変わった」ことに感動し、効果があると感じるようです。しかし、これは単に血液中赤血球のヘモグロビンに酸素が結びつくことにより起こる現象です。クレンジング治療をしなくても、普通に呼吸をしていれば酸素を含んだ動脈血は赤くなります。

 先ほどもお話ししましたが、オゾンには強力な毒性があります。そのため、臨床用には酸素や空気で20倍以上薄めて使われます。この酸素を吹き込めば、血液が鮮やかな赤色になるのは当然なのです。

 一方で過剰なオゾンや酸素は体内に活性酸素をたくさん作り出し、遺伝子やタンパク質などを傷つけることが知られています。その結果、さまざまな病気や老化が進行するとされています。

 クレンジング治療を行い、具合が良くなったという報告がありますが、少数の患者の主観的改善効果に過ぎないものが多く、医学的根拠に乏しいのが現実です。治療の安全性に関しても、致命的な合併症のHIT(ヘパリン起因性血小板減少症=ヘパリンの反復使用で、血小板が減少するにもかかわらず、血栓ができて血管が詰まる)については明確な記載がされてません。つまり、医学界全体が認めたエビデンスのある治療法ではないのです。そして、米国FDA(食品医薬品局)は今年の勧告で、「オゾンの人体への使用は危険で、医学的にも有効性の証明がない」と明確にオゾン療法を否定しました。

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