絶望の中でも援助したい 終末期患者を看護するスタッフの思い
B看護師は「うん、行ってきた。ちゃんとお参りしてきた。すっきりした」と答えていました。
たしかに、その後しばらくはB看護師が担当した患者が亡くなることはありませんでした。
とげぬき地蔵はその病院の近くにあります。科学が発達した今の時代でも、神か仏か、何か心霊的なものに頼りたくなることがあるのでしょう。
終末期患者の死亡日時を推測するのは非常に難しいといえます。科学的にそれを明らかにしようとする論文があり、これを引用した論文や発表が見られます。ある報告では、患者の状態を点数化し、その合計点で「あと何日生きられるか」を推定しようとしています。
たとえば、浮腫あり1・0点、寝たきり2・5点、経口摂取が減少した1・0点、呼吸困難3・5点、せん妄4点……こうしたさまざまな項目を点数化して、その合計がたとえば「6点以上では3週間以内に死亡する可能性が高い」などと予想するのです。
このような点数化は、気分的にも私は好きにはなれません。この点数によって看護内容を変えるなどもってのほかです。