著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

ウイルスは人類の脅威である一方医療の発展にも役立っている

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルス感染症(COVID19)の騒動がますます過熱しています。デマや都市伝説のような誤った情報に振り回されたり、過度な反応をすることなく、落ち着いて対応したいものです。

 コロナウイルスそのものはもともと風邪の原因ウイルスとして知られていましたし、同じような風邪様のウイルス感染症であるインフルエンザでは、亡くなる人が日本国内で年間3000人以上(2018年)います。過去に流行したSARSやMERSはコロナウイルスの一種ですが、それぞれの死亡者数は、世界でそれぞれ774人(2002年11月~2003年7月)と858人(2012年9月~2019年11月)です。死亡者数を見ると、圧倒的にインフルエンザの方が怖いと感じるのではないでしょうか。ですから、新型コロナウイルスに対して過度に反応しすぎることなく、落ち着いて自分の身を守る対策を実践することが重要なのです。

 多くの人は「ウイルス」と聞いただけで悪いイメージを持ってしまうかもしれませんが、最新の薬の中にはウイルスを用いたものが開発されていて、人類の役にも立っています。脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する新しい遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」は、治療の主役となる遺伝子(SMN1遺伝子をコードしたDNA)を目標とした細胞に送るための輸送媒体(ベクター)として、アデノ随伴ウイルスというウイルスが用いられています。これは、ウイルス自体の遺伝子を取り除いて病原性をなくし、代わりの治療に必要な遺伝子を入れ込むことで、ウイルスの感染力(遺伝子を細胞に到達させる力)をうまく遺伝子送達に生かしたもので、遺伝子の導入方法としては古くから用いられている手法です。

 このように、ウイルスは人類の脅威でもある一方で、医療の発展にも一役買っているのです。

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