著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

新型コロナ検査で使われるPCRはDNAを増幅させる偉大な技術

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルス騒動は、終息するどころか患者数がうなぎ上りに増えているようです。連日の報道でよく目にする「PCR検査」ですが、詳しい検査の内容は報じられていません。

 PCR検査に用いられているPCR(Polymerase Chain Reaction=ポリメラーゼ連鎖反応)は「遺伝子」と関連の深い実験技術です。1980年代にこのPCR技術が開発されたことによって遺伝子研究が進んできたといっても過言ではないほど、生化学研究の中で最も偉大な技術のひとつといえます。

 PCRは、遺伝子のもとになっているDNAを増幅させる技術です。PCR反応用の試薬と、増やしたいDNAを混ぜて反応させます。そのステップはいたってシンプルで、「加熱して冷ます」を繰り返すだけです。

 とはいえ、試薬の発見、急速に温めて急速に冷やす技術の開発、全自動の機械の開発、温度条件の最適化、DNAが増えたかどうか確認する方法の確立……といったさまざまな技術革新があって完成されました。

「加熱―冷却」を1回行うと、DNAは2倍に増えます。となると、この工程を11回経ると1つのDNAが1024倍に増えるということになります。このようにDNAを増幅できるようになったことで、それまでは検出が難しかった微量なウイルスでも検出することができるようになったのです。また、PCR法を応用して「微妙なDNAの違い」も検出することができるようになりました。これによって、たとえばコロナウイルスの従来型と新型の微細な変化を検出して区別できるようになったのです。

 インフルエンザのように、コロナウイルスでもこのPCR検出技術がキット化され、迅速に検査ができるようになることを祈るばかりです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる