食欲不振、下痢、嘔吐で…見過ごされる“隠れコロナ”リスク
腹の調子が悪ければ、コロナ感染を疑った方がいいかもしれない――。中国の研究者らが発表した論文〈湖北省における消化器系症状を伴う新型コロナ感染者の臨床的な特徴〉は衝撃的だ。湖北省の3病院に1月28日~2月28日に入院した感染者204人を調べたところ、約半数の99人に消化器系の症状がみられたという。問題なのは、コロナ感染が消化器系の病気と間違われて見過ごされる恐れがあることだ。
■中国研究チームが発表
論文によると、調査対象の患者のうち多数は消化器系の基礎疾患を持っていなかったが、食欲不振(83.8%)や下痢(29.3%)、嘔吐(0.8%)などの症状が確認されたという。レアケースだが、咳などの呼吸器系の症状が表れないのに消化器系の症状だけを発症している感染者もいたというから驚きだ。
ハーバード大学院卒で医学博士の左門新氏がこう解説する。
「この論文は、肺に症状が出た感染者について肺炎を発症する前の初期症状を調べたものです。コロナ感染を判断する際に消化器系の症状はあまり疑われてきませんでした。しかし、この論文は、肺炎の症状が出てからコロナ感染を疑うのではなく、発症前の段階で消化器系の症状にも注意を払っておくべきと警鐘を鳴らしています」