感染封じ込め成功国からの帰国<5>日本は管理が緩くなっている
宿泊客は部屋から出ない。コロナの感染を恐れていたからだ。
「私も日本は感染拡大エリアのイメージが強く、マスクも台湾から100枚単位で持ち込んで、外に出る時は必ず着けていましたから」
古川さんは時間潰しにスマホで台湾の知人や友人たちと、盛んにコロナ情報を交わし合った。
台湾の人が一様に驚いていたのは、日本のコロナ事情であったという。
台湾はすでにコロナ感染が終息し、街を歩く人からマスクを外す人が増えた。
「それなのに、先進医療が世界のトップにあり、しかも神経質な国民性の日本で、なぜコロナ感染を抑え切れないのか不思議だと言っていました」
ホテルに15日間の滞在だったが、感想は比較的自由だったこと。
利用の制約を受けているタクシーや公共の乗り物を使ったところで、監視や罰則を科せられることもない。
実際、古川さんが成田から電車で都心に向かう時も、改札口で駅員から「今日、飛行機を利用しましたか」と問われ、「いいえ」と答えると、すんなり通してくれたという。
「約9万円の宿泊費を支払ってホテルに滞在した理由は、他の『陰性』宿泊者も同じ考えでしょう。審査用紙に明記して入国をパスし、直後に違反してトラブルを起こした場合、今後の出入国が面倒になるリスクが高い。だから素直に従ったのだと思います」