堀ちえみさんは脳ドックで転移チェック MRIなら微小病変も見つかる
原発性の脳腫瘍は、周りの正常組織に染み込むように広がりますが、ほかのがん(多くは肺がんや乳がん)からの転移による脳腫瘍は正常組織との間にハッキリとした境界ができるのが一般的。境界が明瞭なことで、原発性より転移性の方が治療しやすいのです。
そこに、放射線と分子標的薬の進歩が加わります。定位放射線治療とEGFRチロシンキナーゼ阻害薬を組み合わせることで、正常組織にほとんどダメージを与えることなく脳転移を叩くことができるのです。
定位放射線治療とは、いわゆるピンポイント照射のこと。これができる前は脳全体を照射していて、正常組織へのダメージが免れず、照射後3カ月ほどで表れる認知機能の低下が問題で、延命効果はせいぜい半年ほど。それが今は、脳の機能を守りながら5年以上、生存する方が珍しくないのです。
先ほど治療の組み合わせと書きました。実は2つの治療は順番が大切です。最初に定位放射線治療を行ってから、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬を使うのがベスト。逆だと延命効果が下がることが、海外の研究で示されているのです。放射線を後にする治療プランを提案されることがあるかもしれないので、この順番はぜひ頭に入れておいてください。