物忘れが酷くなってきた… 「認知症」以外に疑われる病気は?
いずれにしても原因をはっきりさせることが第一歩ですから、記憶力が低下したと自覚する人は年に1度、精神科、心療内科、物忘れ外来を受診してみてください。診察は、おもに問診、画像検査(MRI・CT)、簡単な計算や単語を記憶・想起してもらうなどの認知機能検査です。MRIやCTを撮りますので、あらゆる脳の病気の可能性が判断できます。
「加齢による物忘れ」ではなく「認知症」を疑う目安はあります。以前と人柄が変わった、暗算ができない、慣れ親しんだ地域の中で道に迷う(家に帰れなくなった)、朝の食事内容を忘れる、誰かにお金を取られたなどの妄想がある、月に1度は財布や携帯をどこかに置き忘れてしまう、着衣ができない(洋服を前後ろ逆に着る、季節感が合わない服装を選ぶ)といったことがある場合、要注意です。自分自身はもちろん、家族が該当していないかどうかも気を付けておきましょう。
▽澤田法英(さわだのりふさ) 2002年、慶応義塾大学医学部卒業後、同大医学部精神神経科学教室研修医課程および専修医課程へ。06年東京都済生会中央病院心療科(精神科)、11年医療法人財団厚生協会大泉病院精神科などを経て、19年に「こころと眠りのクリニック成増」を開設。また、06年から現在まで、複数の企業で産業医・精神科嘱託医として勤務。