手術の進歩は患者の負担を小さくする「低侵襲化」にある
かつて胃がんの手術では、胃をすべて摘出する方法が王道でした。これなら、医療者側は「がんはすべて取り除きました。がんができる胃はないので再発もありません」と断言できてしまいます。しかし、近年は必要以上に胃は切り取らず、機能を残したほうが術後の生活の質が高くなることがわかっています。再発のリスクはありますが、5年後、10年後を見てみると、胃を全摘出した人のほうががん再発以外の要因で早く亡くなっているというエビデンスが示されたのです。
患者さんの負担をより小さくしつつ治療の質をアップする。なおかつエビデンスで証明される。それが「手術の進歩」なのです。
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