死亡率を上昇させる「不安」な感情は腸を整えて軽減する
とはいえ、不安な感情を強引に抱かないようにすることは難しい。カギを握っているのが「腸」だという。
「脳と腸は『腸脳相関』と呼ばれる深い関係があり、不安と腸も密接に関わっています。東日本大震災や熊本地震の直後、被災地のストレス外来では、頭痛、高血圧、過換気症候群などに加え、とりわけ消化器障害の人が多かったと報告されました。今年のコロナ禍でも便秘を訴える患者さんが増えて、『コロナ便秘』と呼ばれています。不安=ストレスがかかったときの脳のfMRI画像を見ると、記憶をつかさどる海馬が萎縮することがわかりました。微小循環が障害されて脳の血流が悪くなるためで、腸の感覚をつかさどっている前帯状回や島と呼ばれる部位も異常をきたします」
■ビフィズス菌には抗不安効果あり
また、不安=ストレスを受けると、脳の視床下部からは「CRF」というストレスホルモンが分泌される。
ストレスに対抗するコルチゾールやアドレナリンの分泌を誘発させるホルモンで、CRFには胃や十二指腸といった上部消化管運動を抑制したり、下部消化管運動を亢進させる作用がある。そのため、腹痛や下痢を招いてしまう。