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坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

ダイエットのためには脂質より炭水化物を制限すべきか

公開日: 更新日:

 しかし06年、複数の研究結果を総合し、より高い見地から分析する「メタ分析」の結果が報告されました。

 それによると、低炭水化物食で6カ月までは有意な体重減少をもたらすが、1年で両群に差はなくなり、低炭水化物食では血中LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の増加をきたしていました。

 低炭水化物食の長期効果を見いだせなかった理由としては、症例数の少なさと高い脱落率を挙げています。さらに、摂取エネルギーを自由にした研究では、総エネルギー摂取量がどれくらいだったかの記載に乏しい点も指摘しています。つまり、「炭水化物さえ制限すれば、好きなものをいくら食べても痩せられる」とは言えない、ということです。

 それ以降の低炭水化物に関する研究発表も、「特定の栄養素の糖尿病状態に及ぼす影響を見いだすことは困難」「炭水化物制限が高血糖やインスリン感受性の改善をもたらすが、症例数と観察期間が不十分、脱落率が高いなどでエビデンスとしての質的な問題点がある」といった内容。


 炭水化物摂取量と心血管疾患のリスク、死亡率との関係について、日本人研究者が従来の研究のメタ分析をしたものでは、低炭水化物食では心血管疾患は減らず、総死亡率は有意に増加したと報告しています。

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