「噛めない・のみ込めない」をサポートするのが言語聴覚士
言葉を介してのコミュニケーションには、言語、聴覚、発声・発音、認知などの機能が関係しています。しかし、脳卒中や咽頭がんなどの病気、交通事故、発達上の問題でこれらの機能が損なわれることがあります。それによって、うまく話せない、話が理解できない、文字が読めない、喉頭がんなどで声を出しにくくなったなどの問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、その人らしい生活を送れるように訓練、指導、助言、援助などをするのが、言語聴覚士です。
また、言語聴覚士は、摂食や嚥下の問題にも対応します。嚥下をスムーズにするために食べ物にとろみをつけることがよくありますが、病院ではどの患者さんにも一律の方法でとろみをつけるケースが一般的です。ですが実際は、患者さんそれぞれ食の好みが異なります。
在宅医療では言語聴覚士が、患者さんが日頃から慣れ親しんでいる食材に合わせ、大きさや量をアドバイスし、おいしく楽しく食事ができるようにしたり、とろみを微調整したりします。
寝たきりの患者さんでは、食欲が衰えてしまっている方も少なくありません。その場合、寝たままの状態でスプーンで食事を与えるだけでは、食べる意欲が湧いてこない。こんな時も、言語聴覚士の出番です。ベッドの角度やクッションの位置を工夫することで、視界が広がり、食べ物をしっかり目で見られるようになる。手が動かしやすくなり、自然と皿のおかずに手が伸びる。舌の位置も安定し、食事がしやすくなるわけです。