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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

西郷輝彦が渡豪を発表 前立腺がん転移に有望な核医学治療

公開日: 更新日:

 PSMAは、前立腺がんが出す特殊なタンパク質です。陽性とはそれがある人で、ない人は対象になりません。去勢抵抗性とは、ホルモン療法が効かないことを意味します。

 この治療に使われる薬剤LuPSMAは、低分子化合物にルテチウム―177という放射性薬剤を結合した構造で、PSMAを標的にします。つまり、ターゲットの前立腺がんの転移部分のみに放射性薬剤が集まり、正確に放射線治療をすることができるのです。

 低線量のガンマ線を放出する特徴もあります。装置でガンマ線をキャッチすると、治療しながら画像診断が可能に。医師は、がんが退縮しているかどうかを視覚的に確認できるのです。

 注目の結果は、生存期間の中央値が13・3カ月で、比較したグループの9カ月より4カ月長い。わずかな成果と思われるかもしれませんが、この治療がなければ痛みを除く緩和ケアしかできない人ばかりですから成果は大きい。

 前立腺がんのマーカーのPSAが50%以上減少した人は50人中32人で、そのうち22人は80%以上低下。治療がうまくいった人では、中央値でおよそ7カ月、PSA値が増加しませんでした。末期がんの進行を抑えているのです。

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