男性の治療はどのように進んでいく?患者の6分の1が無精子症
男性不妊症の疾患の中で最も重篤な病態は、精液の中に1匹も精子が見られない「無精子症」を呈する状態です。平成27年度の全国調査の結果によると、精液所見別患者数では7176人中、1185人(16・5%)が無精子症でした。つまり、男性不妊症外来を受診する患者さんの6分の1が無精子症であることが分かりました。
無精子症は2種類に分けられます。ひとつは精巣内で精子は作っているけれども、精子の通り道である精管が詰まっていて外に出られない「閉塞性無精子症」(ОA)と、もうひとつは精巣内で精子がまったく作られていないか、もしくはごくわずかしか作られていない「非閉塞性無精子症」(NOA)です。
この両者の見分け方は、ホルモン採血検査による「FSH(卵胞刺激ホルモン)」の測定が決め手となります。多くの場合、OAではFSHが正常値を示し、NOAの場合はFSHが高値を示します。
■「シンプルTESE」は約80%以上で精子採取
患者さんが無精子症の場合、顕微授精を目的に精子を採取する治療が必要になります。精巣を切開して精巣組織を採取する「TESE」と呼ばれる方法です。OAの場合は局所麻酔で実施する施設が大半です。精巣白膜を小さく切開し、精巣組織を取り出す「シンプルTESE」を行います。