男性の治療はどのように進んでいく?患者の6分の1が無精子症
一方、NOAの場合は全身麻酔または局所麻酔で実施している施設が半々です。精巣白膜を大きく切開し、精巣を分割します。手術用顕微鏡を用いて、良好な精細管を探索し採取する「マイクロTESE」を行います。シンプルTESEは、約80%以上で精子を採取することができます。
しかしマイクロTESEの場合は、約30%の精子回収に留まります。少しでも回収率を上げるために、手術室に培養士も一緒に入り、手術で採取した検体をその場で検索することも行っています。
また、手術後も培養室で全量検索を続けて、精子がいないかどうか確かめています。精子がいた場合は、液体窒素を用いて凍結します。
■合併症でテストステロン値が低下する場合も
TESEにおける合併症は、精巣組織を採取することでテストステロン値が低下することです。術前の総テストステロン値が3・0ng/ml以下を示す場合は注意が必要です。術後に低テストステロン血症になると、疲れやすくなったりうつ状態になったりします。低テストステロン血症には、内服薬による治療法はありません。テストステロンを注射で投与することになります。個人差にもよりますが、2週間から4週間おきに外来受診が必要になり、継続で注射が必要になります。