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奥田研爾横浜市立大学名誉教授

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

ドイツで感染者が増加 日本は落ち着いているがその違いは?

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 新型コロナウイルスの感染者が欧米を中心に増えている。ドイツのロベルト・コッホ研究所の発表(15日現在)によると、過去7日間に新型コロナに感染した人は10万人当たり303人で、前日の289人から増加。歴代最高記録を更新しているという。日本では感染状況が落ち着いているが、この違いは?

【Q】BBCニュースによれば、第4波が訪れているドイツでは1日あたりの感染者数が5万人を超えたという。その原因は?

【A】「ドイツでは、必要回数のワクチン接種率が67.5%で、日本の75%に比べると低いものの世界的に見れば高い水準にあります。ただし若い世代の接種率が伸び悩み、7割の壁を越えられません。そのうえ人流が多く、マスクをしていない人々が多くいるのが原因かと思われます。

 英国も感染拡大していますが、4割は未接種の子どもと報じられています。英国では、アストラゼネカ製のウイルスベクターワクチンを使っているため、ワクチン自身の免疫力がファイザーやモデルナよりも弱いことも問題としてあります。

 フランスでも6割ほどのワクチン接種者がいますが、感染者はまだ2万人程度とあまり減ってはいません。これも政府が人流を抑制するような対策を取らず、マスクを外している人も多く、感染予防をしっかりしていないためです。こうした国々と日本との大きな違いは、アルコール消毒やマスクの着用、人流抑制など、基本的な対策を徹底しているかどうかだと思います」

【Q】日本でも、12月から2回目の接種から8カ月経った人を対象にワクチンの3回目の接種が始まる。感染者数は減っているが、打つべきか?

【A】「現在、2度接種しているにもかかわらず、ブレークスルーを起こしているのは80~90代の人が多い。40~50代はまだ免疫が残っているため、そこまで多くありません。もとより80歳以上の高齢者は病院や施設などに入居されている人が多く、ワクチンを打っていても免疫反応が強くなくて抗体価が十分上がっていない人も少なくない。それがクラスターを生む原因にもなっています。

 彼らのほとんどは6カ月ほど前に2回打ち終えています。そのため私もそうですが、抗体は4分の1以下になっている人が非常に多いと思われます。こうした人たちには、やはり3回目の接種が必要でしょう」

 イスラエルでは3回目のワクチン接種率が4割程度だが、感染者が減少している状態だ。11月1日から海外旅行客も受け入れている。

 対象者から徐々に接種していくことで、拡大は抑えられているという。

◆10月28日に連載が単行本になりました。3回目の接種や子どもたちの接種など、まだまだ知りたい情報をQ&A形式で答えます。



ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます
(発行:日刊現代 発売:講談社)

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