耳<下>耳の不調を解消する1分間内耳エクササイズ 専門医が解説
そこで坂田院長は、耳鳴り・難聴・めまいに悩まされている患者に「内耳エクササイズ」というセルフケアを指導しているという。内耳の有毛細胞を活性化させることを目的とした1分程度でできる簡単な体操で、2種類ある。1つ目の体操は、30分に1回、椅子から立ち上がるだけ。やり方はこうだ。
■耳スクワット
デスクワークや自宅でテレビを見ているときなど、椅子に30分くらい座りっぱなしの状態が続いたら、椅子から立ち上がる。立ち上がったら、1分程度、背伸びをしたり、前屈・後屈をしたり、トイレに行ったりして、気分転換を行う。これを日常生活でクセになるように習慣づける。
「30分おきに椅子から立ち上がることは、NASA(アメリカ航空宇宙局)も宇宙ステーションで活動するスタッフに推奨しています。宇宙空間では地上の10倍の速さで骨や筋肉、血管の老化が進みますが、それは無重力状態で耳石が動かないことが大きな要因であるからです。地上でも同じで、立ち上がる動作をすると頭が動くので、耳石が刺激されて有毛細胞が活性化します。また、座りっぱなしによる血流悪化の予防にもなります」
2つ目の体操のやり方はこうだ。
■1分シコ踏み
相撲の力士が土俵入りのときに行うシコ踏みの要領で、両足を大きく開き、上半身は真っすぐ、両手はひざの上に軽くのせ、つま先は外側に向ける。この姿勢から片足を上げ、もう片方の足に重心をかける。重心をかけた方の足が真っすぐになるように意識し、片足を上げたまま2秒キープする。そして上げた足を下ろすのと同時に腰を下ろす。このとき骨盤を真っすぐ立てた状態で、腰をゆっくりと落とす。もう片方の足でのシコ踏みも同様に行う。
シコ踏みも頭が大きく動くので、内耳の三半規管や耳石、有毛細胞に良い刺激を与えることができるという。