「良い親」ではなく「分かり合える親」を目指せば事態は好転する
親が「早く立ち直って勉強して欲しい」「自立して欲しい」と愛情がゆえに思っていたとしても、子どもにも子どもなりの理由、子どもなりのペースがあります。子どもは自分自身でも自分の心がわからなくなっていることも多く、安心できる親子関係が生まれないと自分の心を感じる余裕すら生まれないという方も少なくありません。
慌ててはいけません。かといって、いつまでものんびり手をこまねいているというわけにもいきません。不登校やひきこもりの子を持つ親は、すぐに効率的に結果を出せる「良い親になる」のではなく、時間をかけて「分かり合える親」を目指すことが大切なのです。
じつは、「親の傾聴・共感なんて時代遅れで非科学的!どんなに病理が重くても不要です」などと、素人が聞いても首をかしげるようなことを主張される専門家も業界には少なくありません。こういう場合、専門家自身が自らの感情不全を克服できておらず、それ自体を扱うことに苦痛を生じるために理論武装で回避しているという方もおられるので、その解釈には要注意です。
なお、「傾聴・共感」のやり方がわからない場合には、「家族」や「親子関係」の大切さを謳う医療機関やカウンセリング、その他の家族会などの自助グループや、信頼できる事業体などへの相談を強くおすすめします。そこで、さまざまな専門家、当事者や当事者家族との関わりなどを通じて多角的な視点を得ることが実践的な正しい方法を学ぶことにつながり、かつ親自身の心理的負担も軽くできることで、無理のない働きかけにつなげていくことが期待できるでしょう。