コレステロール降下薬「スタチン」が新型コロナの死亡者減らす 海外で研究報告
研究者は「スタチン治療は新型コロナウイルス感染症による死亡と弱い逆相関を示した」と結論付けている。
冒頭でも触れたように、スタチンは血液中のLDLコレステロール(悪玉)を低下させる薬で、脂質異常症の治療、脳梗塞や心筋梗塞などを予防するために使われている。なぜ、新型コロナによる死亡を低下させるのか。
「はっきりした機序はわかっていませんが、理論的にはスタチンが持つ抗炎症作用、抗酸化作用、血管内皮機能を保護する作用が関係していると考えられています」
スタチンは、肝臓でコレステロールが合成される過程で必要なHMG-CoA還元酵素の働きを阻害し、コレステロールの合成を抑えて血液中のコレステロールを減らす。コレステロールの合成過程で産生される中間代謝物は、炎症性サイトカインや酸化ストレスなどに関わっているいくつかの低分子量Gタンパク質を活性化させる。
スタチンはコレステロールの合成を阻害することでそれらの活性を抑えるため、炎症や酸化ストレスを抑制する作用があるのだ。