よく顎が外れる…どんな治療法があるのか 手術はすべき?
次に「顎関節脱臼防止帽 AGOキャップ」の装着です。専門の器具を使って下顎から頭部を固定する方法です。
また「自己血注入療法」は、患者さん自身の血液を顎の関節に注入し、関節内を硬くする治療法です。関節の可動域を制限し、外れないようにします。患者さん本人の血液を使用するので、感染症のリスクも低く、関節に局所麻酔しますので、痛みもありません。ただし、成功率は安定していないのが現状です。
これらの治療法を試しても、口が開かない状態が慢性化したり、顎の痛みや咀嚼などが改善されない場合、手術を検討します。
特に基礎疾患がある方や高齢者は、咀嚼に障害が起こると誤嚥性肺炎のリスクが高まりますから、手術を選ぶケースが多くみられます。
顎関節脱臼を治療する手術にはいくつかありますが、たとえば「関節結節切除術」が有効です。顎関節の前方部分にある関節結節を除去する手術で、全身麻酔の手術となります。
▽簑原沙和(みのはら・さわ) 2015年3月神戸大学医学部医学科卒業後、国家公務員共済組合連合会浜の町病院臨床研修、17年から昭和会今給黎総合病院形成外科、18年昭和大学病院形成外科などを経て、現在は東京臨海病院勤務。