非O型は深部静脈血栓症のリスクが2倍以上 多数の研究で証明
フィブリン血栓は、流れが遅い血管にできやすいことが知られています。とくに足の付け根から骨盤内を通っている太い静脈や、ふくらはぎの深いところを通っている静脈が、好発部位です。それらの静脈(深部静脈)は、血液を心臓に送り返す役割を担っていますが、重力の影響で血流が遅くなりがちです。しかも心臓に近づくにつれて、静脈の太さが増すため、ますます血流速度が落ちて、血栓ができやすくなるのです。
血栓によって深部静脈が塞がれると、急激に足が腫れて、強い痛みが生じます。重症の場合は、血栓ができた側がうっ血して、足全体が赤茶色に変色し、通常の2倍近い太さになることさえあります。これが深部静脈血栓症(DVT)です。
DVTが非O型の人にできやすいことは、20世紀中に行われた多数の研究で証明されてきました。それらの論文のメタアナリシス解析が、今世紀に入ってから行われました。2007年に発表された論文では、非O型がDVTになるリスクは、O型の1.8~2.4倍と見積もられました。また08年に行われた別の解析では、1.6~2.1倍という結果になっています。つまり非O型の人は、O型と比べて、2倍前後もDVTになりやすいのです。血液型は「DVTの最大の遺伝的リスク因子」と言っていいでしょう。