片足で10秒立っていられる人は長生き? 英国の専門誌が報告
年を重ねるごとに運動能力は低下し、体のバランス感覚にも影響を及ぼします。特に50代の半ば以降では、体のバランスを維持する機能が急速に低下するといわれています。
これまでに報告されている研究データによれば、身体機能の低下は転倒の危険性を高めるだけでなく、生活の質や健康状態にも悪影響をもたらす可能性が示されていました。
体のバランス機能を評価する方法に片足立ちテストがあります。片足でバランスを崩さずに立っていられる時間を測定するものですが、20秒未満の人では転倒する危険性が高いと判断されます。そんな中、片足立ちができる能力と、死亡リスクの関連性を検討した研究論文が、英国のスポーツ医学専門誌に2022年6月21日付で掲載されました。
この研究では51~75歳の1702人が対象となりました。被験者は片足立ちで10秒の間、バランスを崩さずに耐えられるかどうかをテストされ、片足立ちが維持できた人と、維持できなかった人で死亡リスクが比較されています。
テストの結果、片足立ちが維持できなかった人は、被験者の20.4%を占めました。また、中央値で7年間にわたる追跡調査を行ったところ、死亡率は片足立ちが維持できた人で4.6%、維持できなかった人で17.5%でした。年齢、性別、肥満の度合いなど、死亡率に影響を与える因子について統計的に補正して解析すると、片足立ちが維持できなかった人は、維持できた人に比べて、死亡リスクが84%と高まると見積もられました。
論文著者らは、「片足立ちができる能力は死亡リスクの低下と関連している」としたうえで、「中高年の健康診断に、片足立ち能力に関する項目を取り入れることで、有益な情報が得られる」と結論しています。