心臓トラブルがある人は「熱中症」が重症になりやすい
たとえば、心筋梗塞で心機能低下がある人は、熱中症による脱水から心不全を引き起こします。しかもこのような心不全では、急性腎障害を起こして腎不全を招く傾向が強くなります。脱水になると全身の血液量が少なくなるため、腎臓に流れてくる血液量も低下するからです。加えて心不全で心臓のポンプ機能が落ちると血液循環が悪くなり、やはり腎臓の血流が低下します。そうしたことから多臓器不全に陥り、最悪の場合、命を落とすこともあるのです。
■生活習慣病の薬を使っている人も注意
次に、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病があり、その管理のために複数の薬を服用している人、その次にステロイドを含む消炎鎮痛剤や利尿薬を常用している人は、熱中症が重症化するリスクが高いといえます。熱中症による脱水と異常な体温上昇は、そうした薬の作用が悪いほうへ効きすぎてしまったり、それぞれにある副作用を生じやすくさせるのです。
たとえば、普段から降圧剤で血圧を管理している人が発熱したときに服用すると、過剰投与した状態と同じように薬が効きすぎてしまい、急激に血圧が低下してショック状態になるケースがあります。血圧が一気に下がると、脈拍が減ってそのまま意識を失ったり、心臓が止まってしまう場合もあります。熱中症で体温が異常に上昇している状況でも、降圧剤の服用で同じことが起こる危険があるのです。