秋の夜長にぐっすり眠るには…照明を消して「光」を管理する
慣れない場所では「月明かり」程度に抑える
「ただし、完全に照明を消した真っ暗な環境では不安や恐怖、焦りを感じて眠れない人もいます。人間は安心と安全が確保された場所でなければ、本能的に落ち着いて眠れなくなってしまうのです。ですから、ホテルや宿泊先など慣れていない場所では、部屋を真っ暗にはせずに、照明を月明かり程度、人影は認識できるが誰かはわからないくらいの明るさまで落として就寝するのがいいでしょう」
日常的に過ごす自宅の寝室であれば、真っ暗にして寝るのが理想的だが、どうしても不安な場合は、電灯などの簡易的な照明機器を使って顔よりも下の位置だけを照らすようにして、慣れてきたら徐々に暗くしていく。
「照明は白色の蛍光灯ではなく、オレンジ色などの暖色系の電球が望ましい。最近はLED電球も増えていますが、LEDのブルーライトを浴びているとメラトニンが減ってしまうという報告もあります。オレンジやサクラ色といった暖色系のLED電球も元々の光は青色ですし、蛍光灯にもブルーライトが含まれているので、質の高い眠りを妨げる可能性があります」
真っ暗あるいはなるべく暗くした寝室で就寝しても、起床時は「光」を浴びることが大切だ。われわれの体は光を浴びると「セロトニン」という神経伝達物質の分泌をはじめ、脳と体を覚醒させる。そして、夜になるとそのセロトニンからメラトニンが合成され、自然に眠れるようになる。そのため、朝に光を浴びてセロトニンをしっかり作っておく必要があるのだ。
「日の出に向けて徐々に明るくなっていくタイミングに合わせ、われわれは自然に目覚めていきます。ただ、窓を遮っている真っ暗な部屋では光を感知することはできません。朝、アラームで目覚めた時点でカーテンを開け、窓から光が差し込むようにするといいでしょう。最近は、起床時間に合わせて徐々に明るくなっていくようにタイマー設定できる照明機器が登場しているので、そうしたタイプを利用するのもおすすめです」
質の高い睡眠のためには「光」をコントロールすべし。