C型肝炎は「治る時代」なのに「治らない患者」がいる理由
日本人のC型肝炎患者数は推計100万~150万人。このうち治療できたC型肝炎患者は約47万人。一方、感染を知りながら治療を受けていない人は25万~75万人、感染を知らない感染者は30万人と推計されている。
■感染がわかっていても症状がないから受診しない
「なぜか? それは自覚症状に乏しいからです。慢性肝炎や、肝臓の働きがある程度保たれている『代償性肝硬変』では症状がなく、肝臓の機能が失われた状態の『非代償性肝硬変』になってようやく症状が出てくる。肝臓がんがあっても、3~5センチ程度ではほとんど症状がありません。だから病院に行かなくてもいい、となってしまう」
実際、精密検査をしてC型肝炎と診断されたが通院していない理由を調べた報告では、1位が「症状がない」。2位、3位には「医師に通院しなくていいと言われた」「医師に『経過観察』と言われた」とあり、これは肝機能検査で異常が見つからなかったためと考えられるが──。
「肝機能検査でALT(GPT)が正常だと肝臓は悪くないと思われがちですが、ALTは肝臓の細胞が壊れているかどうかを見ているだけで、どれだけ病気が進んでいるかを見ているのではない。ALTが正常でも肝硬変のケースはある」