難聴は認知症の大きなリスク 会話が聞き取りにくくなったら「人工内耳」も検討を
成人の場合、両耳ともに70デシベル以上の音が聞き取りにくい高度・重度難聴であることに加え、補聴器の装用効果が乏しい場合に人工内耳の適応となる。小児では、原則体重8キロ以上の1歳児から手術が可能とされている。どちらも両耳とも裸耳での聴力検査で平均聴力レベルが90デシベル以上であれば、適応となる。
人工内耳とは、障害がある内耳に代わって音を電気信号に変換させる機器である。蝸牛内部にあるラセン神経節細胞を刺激することで聴神経を通して音を脳に伝え、聞こえるようにする仕組みだ。手術で体内に植え込む「インプラント」と、音をマイクで拾い、インプラントへ送る「サウンドプロセッサー」から構成される。
「人工内耳のインプラントは一度入れたら故障しない限り、生涯取り換える必要がありません。不慮の事故などで大きな衝撃を受けない限り、入れ替えるケースはほとんどありません。サウンドプロセッサーは5~10年で替えることが多いですが、健康保険の適用であるため自己負担額は少なく済みます」
また、近年では機械の改良によってこれまで受けられなかったMRI検査も可能になり、専用の防水カバーをサウンドプロセッサーに装着することで、プールや温泉での装着も可能になっている。