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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

マスクの効果を評価したランダム化比較試験 0.3ポイントでも条件が変われば…

公開日: 更新日:

 コロナ感染についての結果は、マスク推奨群で1.8%、マスク非推奨群で2.1%という結果である。どちらも2%前後で大きな差はないというところだろうか。

 しかし少しでも感染リスクが少ない方がいいと考えるならば、マスク推奨群の方が0.3ポイント少ないという結果でもある。

 もう少し詳しく見ていこう。

 この研究のマスク推奨群は、マスクを着けるように勧めるというだけで、実際に着けているかどうかとは異なる。事実、マスク推奨群でマスクを着用していたのは47%に過ぎず、マスク非推奨群でも7%はマスクを着けていたとの記載がある。

 もともとマスク着用に抵抗がある国では、マスクを勧められてもしない場合も多く、マスクの効果を過小評価する結果が出やすい面がある。

 もしこの研究が日本で行われたならばマスク推奨群では100%近い着用が実現されたかもしれない。ただマスク非推奨群も結果的にはみんなマスクをしていたという可能性もあり、研究そのものが成り立たない可能性も高い。これから新たに日本でマスクの効果を検討するためのランダム化比較試験の実施は無理というのが現実である。

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