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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

高嶺ふぶきさんは舞台復帰へ…甲状腺がん「低リスク」以下は経過観察が中心

公開日: 更新日:

 その根拠が甲状腺専門の隈病院のデータです。甲状腺乳頭がんのうち1センチ以下の微小がんと診断された2153人を、すぐ手術を受けた974人と経過観察した1179人に分けて追跡。その結果、どちらも甲状腺がんで亡くなったケースはゼロでした。

 経過観察グループのうち、10年間でサイズが3ミリ以上増大したのは8%で、リンパ節転移は3.8%。微小で悪化を示すようなケースは、その時点で手術をすれば、再発はないのです。若い女性は、自然に消えることもあります。「低リスク」は10年生存率が99%と、まず悪さをしません。

 甲状腺の乳頭がんで手術が必要なのは、「中リスク」以上で、再発を繰り返したり、より悪性度の高いタイプに変化したりするケースです。

 乳頭がんとは別に、未分化もあります。甲状腺がん全体のわずか1%ですが、とても進行が速く、1年生存するのもわずか。がん専門医の私も、「最悪のがん」として、すい臓がんと並んで恐れているほどです。

 実は乳頭がんが長い時間をかけて厄介な未分化がんに転化することもあります。60歳以上に多く、乳頭がんも高齢で発症するほど悪性度が高い傾向もあり、リスク分類を踏まえて、高齢発症ではすぐに手術することもあります。高嶺さんがすぐ手術をされたのは、50代発症の年齢を考慮されたのかもしれません。

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