「片頭痛」と「帯状疱疹ウイルス」には密接な関係がある
さて、ここで片頭痛と帯状疱疹の話に移りましょう。帯状疱疹は左右どちらかの神経に沿って発疹ができ、ピリピリとしたなんともいえない嫌な痛みを伴います。じつはこのピリピリとした痛み、片頭痛の患者さんも頭痛が起きる前に感じる場合があることがわかってきています。
片頭痛が強く起きる側の頭皮や顔面がピリピリし始めると、「頭痛がくるな」とわかる。そんなふうに話す人が多いのです。予兆の一種ですね。この片頭痛前のピリピリや違和感は「異痛症(アロディニア)」と呼ばれており、知覚神経である三叉神経が敏感になることが原因で起こります。
アロディニアが起こっている片頭痛の患者さんの帯状疱疹ウイルスの抗体価を調べてみたことがあります。すると、片頭痛の発作がひどくなるタイミングで帯状疱疹ウイルスの抗体価も上昇傾向になっていることが判明しました。
特に女性の場合、月経に関連して起こる片頭痛の際には免疫力が低下し、このせいで帯状疱疹ウイルスが活性化して、顔面や頭皮がピリピリするアロディニアが引き起こされている可能性が高いのです。「体が疲れて免疫力が落ちているよ」と三叉神経に伝えられ、そのため危険信号としてひどい片頭痛発作が起きる可能性が高いのだろうと私は考えます。