11月14日は「世界糖尿病デー」 押さえておきたいフットケア7つのポイント
「糖尿病で高血糖が続くと、細胞障害に関わる受容体が血管内皮に炎症を起こします。炎症の継続で血管内皮が腫れて硬く分厚くなり、血液の通り道が狭くなる。血液が流れても、硬く分厚い血管は対応しきれず、血管内が血流の圧で傷つきます。つまり、動脈硬化の進行です。次第に血液は血管の端々まで行かなくなり、酸素や栄養などが届けられなくなります。すると、傷が治りづらい」(下山院長=以下同)
次に、免疫力の低下だ。高血糖自体が細菌の好む環境である上、血流の滞りで組織が酸素不足になり、免疫を担う白血球の機能が不十分となる。
さらに、糖尿病になると、感覚が麻痺する神経障害が生じる。細菌感染で本来は生じる痛みを感知しづらい。
これら動脈硬化、免疫力低下、神経障害が重なった結果、水虫、ちょっとした足の切り傷やヤケドなど、健常者では放置しても問題ないことでも重症化し、足の潰瘍や壊疽まで進んでしまう。「糖尿病の足病変」という。
「足の血管を広げるステント治療を行っても、大半は半年から1年で再狭窄となる。そもそも腎臓が悪いなどの理由から、ステント治療を受けられない人が多い。また、薬の治療では、血流が悪いから根本治療にならない。そのため、潰瘍や壊疽まで行くと、打つ手が非常に限られ、やがては足の切断となってしまうのです。さらには、足病変が問題になる段階では、体中の血管で動脈硬化が進行しているので、心筋梗塞、脳卒中のリスクも高くなり、死亡率の高さにつながります」