石原藤樹
著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

「歯磨き」は肺炎をどれだけ予防できるのか? 米国の内科医学誌で報告

公開日: 更新日:

 がん心臓病などに次いで、特に高齢者の死亡原因として重要なのが「肺炎」です。肺炎になると、通常の場合、抗菌剤(抗生物質)が使用されますが、細菌性の肺炎以外には効果がありませんし、抗菌剤が効きにくい耐性菌が増加している、という問題もあります。それでは、肺炎の有効な予防法はないのでしょうか?

 肺炎は口の中の衛生状態と関連が深いと考えられています。唾液の分泌が低下すると免疫状態も低下し、口内炎や歯槽膿漏などの細菌感染症の誘因となります。それが誤嚥などを介して肺炎につながるのです。

 それでは、常に口の中を健康に保つことにより、肺炎は予防可能なのでしょうか? 抗菌作用のある洗浄剤を使用した研究などもありますが、あまり明確な予防効果は確認されていません。

 昨年の米国医師会関連の内科の医学誌に、シンプルな歯磨きの肺炎予防効果を検証した論文が掲載されています。入院中の患者を対象とした、これまでの15の臨床試験データをまとめて解析したところ、毎日歯磨きを行うと、行わない場合と比較して、院内肺炎のリスクが約3分の1有意に低下し、集中治療室における死亡のリスクも約2割低下していたのです。この予防効果は、特に人工呼吸器を装着しているような、重症の患者で強く認められました。

 歯磨きは簡単な肺炎予防法として、意外に有効な方法であるようです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  4. 4
    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

  5. 5
    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6
    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

    大谷への理不尽な「ボール球」ストライク判定は差別ゆえ…米国人の根底に“猛烈な敵愾心”

  2. 7
    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

    巨人・岡本和真「急失速の真犯人」…19打席ぶり安打もトンネル脱出の気配いまだ見えず

  3. 8
    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

    新関脇・大の里の「大関昇進の壁」を親方衆が懸念…看過できない“練習態度”の評判

  4. 9
    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

    高橋一生「ブラック・ジャック」高視聴率も続編困難か…永尾柚乃“完璧ピノコ”再現に年齢の壁

  5. 10
    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し