高齢者の再手術では「仮性動脈瘤」を処置するケースが多い
心臓弁膜症の手術で使われる人工弁の場合は、「縫合不全」と呼ばれるトラブルが起こります。初回の手術から時間がたって縫合不全が起こるケースは、縫合部に使った組織の動脈硬化による石灰化が進行して、植え付けた人工弁が徐々に外れることが見られます。生体組織が人工物を排除しようとするのです。
■経年劣化と異常事態がトラブルの引き金に
こうした生体組織が人工物を排除しようとしてトラブルが起こるケースは、多くの人が日常でも体験しています。虫歯の治療で詰め物やかぶせ物をした際、治療直後は具合が良くても、普段の手入れがおろそかになってかぶせ物が浮いたり、詰め物が取れてしまった経験がある人はたくさんいるはずです。心臓手術も同様で、人工物は異常事態と経年劣化によって生体から排除されるのです。
初回の手術から時間が経過し、体に何らかの異常事態が起こったことで人工物を設置した箇所にトラブルが生じ、再手術が必要になる──となれば、再手術は体に異常がある状況で行うものということになります。まさに、“弱り目にたたり目”の状態です。