膀胱炎のリスク大…女性にも多い「尿漏れ」はトレーニングで改善できる
尿意を意識してトイレ行くタイミングを調整
尿漏れというと、前立腺肥大など男性に多い疾患というイメージが強く、受診を後回しにしている女性は多い。悩んでいるなら、負のスパイラルに陥る前に対処したい。女性専門の泌尿器科であるウロギネ科では、腹圧性尿失禁に対しては、肛門、腟、尿道をキュッと締め上げ骨盤底筋を鍛える体操や、特殊なテープで下がった尿道を正しい位置で固定するTVT手術が実施されている。切迫性尿失禁では膀胱の収縮を抑える作用をもつ抗コリン薬やβ3作動薬の服薬治療が有効だ。
加えて大切なのが「行動療法」だ。自身の尿意を意識してトイレに行くタイミングをコントロールすると、病状によってはそれだけで尿漏れが改善されるという。
「当院で推奨しているのが『尿意知覚トレーニング』です。尿意は7段階(表)に分けられ、普段は『かなりトイレに行きたい』『すごくトイレに行きたい』のタイミングでトイレに行く人であれば1つ手前の段階で行くようにして、尿漏れを防ぐ方法です。よく考えてみれば当たり前のことですが、実行できている人は少ないので試してみてください」
水分摂取量にも気を付けたい。通常、適切な尿量は1分間に1ミリリットルとされ、1日に換算すると約1500ミリリットルになる。食事に含まれる水分量や汗で蒸発する水分量を換算すると、飲料水から摂取する1日の水分量は、800~1000ミリリットル、多くても2000ミリリットル以内が望ましい。
「高齢者の場合、夏の時季に熱中症にならないよう水分を取りすぎて、1日の尿量が3000ミリリットル前後の人も少なくありません。それでは頻尿や尿漏れは避けられず夜間頻尿につながり、夜間の転倒リスクが高まります。まずはセルフケアから始め、自分の尿意について把握するといいでしょう」