佐藤弘道さんは下半身麻痺で活動停止…「脊髄梗塞」はどんな病気?
「背中や下半身の大きな異常で神経内科や整形外科を受診しても、脳のMRIや腰のX線写真の検査だけでは、正確な診断はされにくいのです。脊髄梗塞を疑い、腰のMRIを撮ってもらう必要があります。脊髄梗塞に対する治療法も確立されていないため、炎症を抑えるステロイドやリハビリといった対症療法しかできない。ただ、梗塞の部位や血栓のサイズが小さい場合には、発症から2~3日で症状が改善する場合もあるので、自分で脊髄梗塞かもしれないと疑いを持つことが予後を良くする最大のポイントです」
しかし、麻痺が重度でその状態が長期間持続した場合、神経が機能不全を起こして身体回復が難しく下半身麻痺が残りやすい。脊髄梗塞の発症リスクを少しでも減らせるよう、健診などで生活習慣病やその疑いが指摘されたら、放置せずに動脈硬化症を調べるための血管の精密検査を受けるべきだ。
「ただ高齢者に発症しやすい脳梗塞や心筋梗塞と異なり、脊髄梗塞の平均発症年齢は50~60代の中高年層でも見られることから、動脈硬化以外の原因も考えられます。脊髄の血管を圧迫させないためにも、運動する際は無理に体を動かして腰に過度な負担がかからないように心掛け、血栓の原因となる脱水にはくれぐれも注意を払ってください」