自分は幸運と思えば幸運な結果を、不運と思えば不運な結果を招く
以前にもこのコラムで紹介した、ケルン大学のダミッシュらの研究チームが行った実験(2010年)は最たる例でしょう。
参加者全員にパターゴルフをしてもらい、半数の人だけに「あなたの打つボールはラッキーボールです」と知らせ、打ってもらう。
すると、ラッキーボールと告げられた半数の人のカップイン率は10球中平均6.75回、対して告げられなかった人たちは10球中平均4.75回でした。
ラッキーボールと告げられた人たちの方が、カップイン率が35%もアップしたことからも分かるように、「自分は運がいい」と思い込むだけで、結果は違ってくるんですね。
こうした幸運と不運に関する実験や調査は多く、中でもハートフォードシャー大学のワイズマンは、数多くの研究を行っています。
たとえば、自分を幸運と思う人と、不運と思う人を集め、両方に新聞を渡し、その中に写真が何枚あるかを探させるという実験(03年)を行っています。
実はこの新聞、ページの半分を占めるスペースに、高さ2インチを超える大きな活字で、「これを見たと実験者に言えば250ポンド(=約5万円)がもらえる」というメッセージが書かれており、実験の意図するところは写真を探すのではなく、このメッセージに気が付くことができるかというものでした。その結果、不運と思っている人ほど気付くことができなかったという結果が明らかになったそうです。