義足はどういった流れで作られているのか…まずは断端管理
ただ、切断手術後に長い間ベッド上で過ごしたり、車椅子に乗り生活していると関節が固くなる「関節拘縮」を引き起こしやすくなります。拘縮は切断した場所に近い関節で生じやすく、関節の可動域が狭くなると義足を装着してもスムーズに動かせず、自然な歩行ができません。理学療法士による指導の下、関節を伸ばすストレッチや膝や腰などの筋力強化を行い、義足での歩行に備えておく必要があるのです。
ソケットが手元に届いたら、実際に義足を履いて歩く「義足歩行訓練」を開始します。まずは平行棒の中で立つ練習から始め、平行棒内を歩き、歩行が安定したら杖をついて歩くなど、徐々にリハビリのステージが変わっていきます。体の状況や義足歩行訓練の頻度にもよりますが、杖をついての歩行は下腿義足であれば1カ月、大腿義足や股義足であれば3カ月で歩けるようになると言われています。
次回は、高齢者の負担を減らす画期的な義足についてお話しします。
▽寺門厚彦(てらかど・あつひこ) 1995年聖マリアンナ医科大学卒業。2005年順天堂大学リハビリテーション医学助教を務め、06年公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンター付属診療所嘱託医。19年順天堂大学足の疾患センター装具外来を担当。