「高次脳機能障害」と「認知症」…症状がほぼ同じなのに、治療法がまったく異なる理由
「高次脳機能障害」と「認知症」で現れる症状は実はどちらもほぼ同じです。しかし、その病態は異なるので、症状の変化がまったく異なります。
このため、治療法もまったく変わります。
共通する症状としては、注意力低下(集中力が続かず、ミスが増えて作業を長く続けられない)、遂行困難(臨機応変に行動できない。計画を立てることができず、指示がないと行動できない)、記憶障害(新しいことやさっきやったことを覚えられず、同じことを何度も言う)、社会的行動障害(すぐに怒ったり、こだわりが強くなったり、イライラして暴力をふるう。すぐに疲れて意欲が低下する)、病識や見当識の低下(自分の問題点がわからなかったり、時間・場所・人がわからなくなる。重症では家族がわからない)を認めます。
高次脳機能障害は、脳卒中や脳外傷、脳炎の後に生じる脳損傷に伴う症状です。ですから、脳損傷が生じた急性期が重症になります。それが、回復期、慢性期と時間が経過すると、徐々に軽快します。そのため、高次脳機能障害は良くなる障害だと思われがちです。