著者のコラム一覧
荒井宏幸クイーンズ・アイ・クリニック院長

クイーンズ・アイ・クリニック院長。医学博士・眼科専門医。医療法人社団ライト理事長。みなとみらいアイクリニック主任執刀医。防衛医科大学校非常勤講師。

「視神経乳頭陥凹」を指摘されたら症状がなくても必ず眼科へ

公開日: 更新日:

 眼底検査では網膜と、そこを走る血管の状態をチェックし、視神経乳頭が奥の方に押されているようにへこんでないかを確認します。へこんで見えていたなら、それは緑内障のシグナル。眼科で視野検査を受けるように指導があるはずです。

 視神経乳頭が奥にへこんでいる状態を「視神経乳頭陥凹(かんおう)」と呼びます。緑内障では視野が欠ける前に、この視神経乳頭陥凹が大きくなっていくんですね。これを「視神経乳頭陥凹拡大」と呼びます。

 視神経乳頭陥凹拡大が見られたなら、眼科で視野検査を受ける必要があります。機械の前に座って、光が見えたら手元にあるスイッチを押す。非常に簡単な検査ですが、これによって光に関する感度を調べることができます。

 感度の悪い範囲が広がっていると、「緑内障の兆候あり」と医師は判断。この時点から緑内障治療の目薬を使用することをすすめます。視野欠損の進行を食い止めるためです。ところが、これがなかなか患者さんとしては受け入れがたいようなんですね。

 視野欠損が始まってない時点での治療ですから、ご本人に「視野が欠けていく」とお話ししてもピンとこない。「なにも困ってないのに、毎日目薬を点眼しなければいけないなんて面倒だな」と感じる方が多くいらっしゃる。けれども、緑内障の治療の決め手はなんといっても「早期発見」。これに尽きるわけです。

 早い段階で見つけ、毎日定められた目薬をきちんと点眼する。こうすることでかなりの確率で生活に必要な視力を寿命まで保つことができるのです。

【連載】一生見える目をつくる

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