(9)長寿におけるmTOR阻害薬とカロリー制限の関係

公開日: 更新日:

「細胞内の栄養状態を監視して細胞増殖・分裂のタイミングを決めるmTORを働かせないようにすると、細胞は栄養不足と判断して分裂に使うエネルギーを節約してオートファジー(自食作用)に振り向けます。すると細胞内ではタンパク質を新たに合成せず、細胞内の不要なタンパク質などを再利用する。その結果、細胞の増殖スピードは緩やかになり、老化も遅くなる。つまり、mTORの活性化を抑えることが寿命の延長に役立つ可能性があるのです」

■細胞内が飢餓状態に置かれることが重要?

 そこで思い出されるのが、ヒトはカロリー制限した方が寿命が延長するという考え方だ。

 実際、栄養失調にならない程度のカロリー制限を続ければ長生きすることは、さまざまな実験で実証されている。mTOR阻害薬であるラパマイシンがmTORを働かせないようにすることは、カロリー制限をしている状態にするのと同様と考えられる。

「カロリー制限が健康と長寿にどう影響するのかを検証する実験はこれまでも幾度となく実施され立証されています。その結果、酵母、ショウジョウバエ、マウスなど種を超えた、共通の抗老化システムが存在することがわかりました。ヒトにおいても、いくつかの観察研究により、無理のないカロリー制限でも、長寿につながる可能性があることが知られています」(根来医師)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  2. 2

    江藤拓農水相が石破政権の最初の更迭大臣に?「隅々まで読んだ」はずの食糧法めぐり“逆ギレ誤答弁”連発

  3. 3

    「相棒」芹沢刑事役の山中崇史さんが振り返る俳優人生…地下鉄サリン事件「忘れられない」

  4. 4

    吉幾三(5)「お前のせいで俺と新沼謙治の仕事が減った」

  5. 5

    みのもんたさんが自身のスキャンダルで見せた“類まれな対応力”…明石家さんま、石田純一との共通点

  1. 6

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 7

    大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

  3. 8

    日本代表FW古橋亨梧の新天地は仏1部レンヌに!それでも森保ジャパン復帰が絶望的なワケ

  4. 9

    維新は予算案賛成で万々歳のはずが…ゴタゴタ続きで崩壊へ秒読み 衆院通過の自民はニンマリ?

  5. 10

    松坂桃李「御上先生」第7話2ケタでV字回復へ 詩森ろばの“考えさせる脚本・演出”はTBS日曜劇場からの挑戦状