著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

医者嫌いの養老孟司先生が肺がん治療を受け入れた要因

公開日: 更新日:

 養老先生は医者嫌いで知られ、特に抗がん剤には否定的で「がんになっても抗がん剤は受けない」と公言されていました。

 診断がついた当初、このがんの5年生存率が3割ほどであることを知ってか、「完治は望んでいないので、治療はテキトーに」とおっしゃっていたほどです。

 その先生が私の説明やご家族の気持ちなどを受けてほぼ迷いなく標準治療を選択された要因は、目の前の仕事の存在があったと思います。ライフワークにされている虫の研究の一環で、虫法要と虫展が目前に迫っていたときでした。その仕事をやり遂げたいという気持ちが強かったのだと思います。

 幸い、抗がん剤の副作用も軽く、続く放射線治療も完遂。いまは経過観察を続けながら、ふだんの生活に戻っています。

 治療前の先生のように抗がん剤に否定的な人は少なくありません。私も無謀な抗がん剤はお勧めしませんが、適切に使えば決して悪いものではなく、著しい回復を見せることがあるのです。先生の考え方の変化と治療後の回復は、抗がん剤の認識を改めるキッカケになるエピソードだと思います。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  2. 2

    小泉進次郎氏「コメ大臣」就任で露呈…妻・滝川クリステルの致命的な“同性ウケ”の悪さ

  3. 3

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  4. 4

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  5. 5

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  1. 6

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  2. 7

    関西の無名大学が快進撃! 10年で「定員390人→1400人超」と規模拡大のワケ

  3. 8

    相撲は横綱だけにあらず…次期大関はアラサー三役陣「霧・栄・若」か、若手有望株「青・桜」か?

  4. 9

    「進次郎構文」コメ担当大臣就任で早くも炸裂…農水省職員「君は改革派? 保守派?」と聞かれ困惑

  5. 10

    “虫の王国”夢洲の生態系を大阪万博が破壊した…蚊に似たユスリカ大量発生の理由