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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

大腸がん…遺伝が影響「する」、「しない」ケースの注意点

公開日: 更新日:

 発がんに関係する遺伝子はいくつかあり、遺伝性大腸がんではがんを抑える働きをする遺伝子の異常が重要です。いわばがんのブレーキ役を両親から1つずつ受け継ぎ、大腸粘膜で2つともブレーキが壊れると、発がんに進むイメージです。

 ブレーキの“故障”は大腸粘膜に限ったことではありません。ほかの細胞でも生じているので、遺伝性大腸がんの場合、ほかの臓器でもがんを発症しやすいと考えられています。特に乳がんや卵巣がん、膵臓がんなどは要注意です。

 ただし、家族に複数の大腸がんの方がいても、原因となる遺伝子異常との関係が不明なケースもあって、これは家族性大腸がんと呼ばれ、全体の2~3割を占めます。

 原口さんは疲労感が抜けないことが気になって人間ドックで大腸内視鏡検査を受けて、診断がついたといいます。そのときステージ3b。病巣近くのリンパ節に4個以上または病巣から離れたリンパ節に1個転移がある状態ですが、離れた臓器への転移はありません。遠隔臓器への転移がなかったことは、とてもよかったと思います。

 症状があったことでギリギリのタイミングで発見できましたが、がんを早期に発見するという点では症状を頼りにすることはよくありません。大腸がんの予防や早期発見のためには毎年、必ず便潜血検査を受けながら、メタボ的な生活を改めることが大切です。

【連載】Dr.中川 がんサバイバーの知恵

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